スマホ社会が進む中国。オーガニックの見本市「BIOFACH CHINA 2018」でも、中国のIT・スマホ先進国ぶりが、あちこちで垣間見ることができた。

入り口や、PRボードなど、あちこちにQRコードがみられる。WEBページのURLは見当たらず、QRコードをスマホでその場でスキャンすることで、情報を取得することができる。

また、ご存知の方も多いと思うが、中国ではFacebookやTwitter、LINEなどは使用することができない。展示会の情報は公式ホームページまたは「Wechat」公式アカウントがあって、ここから発信されている。

「BIOFACH CHINA 2018」WeChat public number

また、一部の有機野菜生産者のブースでは、QRコードのシールがつけられた野菜が並んでいた。いわゆる安心安全な食材を流通させるための、トレーサビリティ(生産履歴情報管理)の仕組みだが、これらをスマートフォンで確認することが可能となっているのだ。QRコードをスマホでスキャンしてみると、生産者やブランドの紹介、生産履歴や有機認証の証明書、レシピなどの情報を見ることができる。また、購入したユーザーがレビューや評価を投稿することも可能だ。

「品牌」には、生産者(ブランド)についての情報が丁寧に書かれていた。もちろん、スマートフォン向けに最適化されていて、とても見やすい。

日本でも、すでにこのような取り組みをしている企業などもあるが、なかなか広まっていないのが現状だ。以前から「顔が見える野菜」として生産者情報を見ることができるよう、野菜のパッケージにQRコードを印刷しているものもあるが、メンテナンスされていないことも多く、いざスキャンしてみたらリンク先のHPが無くなっていることもあったりする。日本のオーガニック業界のIT化は他産業に比べてかなりの遅れをとっているし、また、オーガニック×ITという面では、中国は日本の何年も先を行っていると実感する。

「品质」の部分をクリックすると、生産履歴が詳細に書かれていた。肥料をあげた日、水を与えた日、、収穫して包装した時間なども確認することができる。収穫から何日経ったものなのかも確認ができることから、売り場での鮮度管理にも役立ちそうだなと思った。

では実際に売り場では実際どのように扱われているのか?ということで、「盒馬鮮生」へ。

盒馬鮮生(Hema Xianshe)、フーマはアリババが運営する、今注目の無人レジスーパーだ。袋詰めはもちろん、商品のコードをスキャンするのも会計するのもセルフで。レジに現金はなく、支払いは電子決済のみ。スマートフォンを使いAliPay(アリペイ)で決済する。

食品売り場へ行くと、有機野菜のコーナーも設けられていた。

電子値札(プライスカード)や商品にはコードがついており、アプリからオンライン注文もできる。決済後、指定範囲内であれば30分以内に配送もしてくれる。急いで受け取る必要がないものは後日の配送もOKだ。


QRコードをスキャンすれば、生産地、生産履歴や栄養成分や調理法などの情報を確認することができる。

消費者は、「誰が作ったか?」の情報はもちろん、その生産物は「いつ、どうやってつくられたか?」の情報を求めている。「顔が見える・・」からその一歩先へ。

購入する前に売場でスキャンして情報を見る、という消費者は実際には少ないかもしれないが、いざというときに確認可能なデータがあるという安心感は大きいと思う。

中国の食品売場ですべての有機野菜が袋詰め、ラップされているのは、あまりエコではないなぁと感じていたが、もしかしたら「QRコードを貼るため」というのが理由の一つなのかも?と思えてきた。あるいは、「セルフレジでコードをスキャンするため」必要なのかも?

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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