2018年5月24日から26日の3日間、上海万博展示会&コンベンションセンターで開催されたオーガニックの見本市「BIOFACH CHINA 2018」。

毎年2月、ドイツ・ニュルンベルグで開催される世界最大級のオーガニック専門展示会BIOFACH(ビオファ)に比べると、開催規模はかなり小さいと言わざるを得ないが、それでも、毎年着実に展示スペースが拡大。出展者も来場者も増加し、アジアの中でも影響力のあるオーガニック展示会の一つとして成長しつつある。

2016年の中国のオーガニック食品の売上規模は、59億ユーロ、全世界のシェア7%、アメリカ、ドイツ、フランスに続いて、世界第4位だ。(Source:FiBL「The World of Organic Agriculture 2018」)有望な有機食品のビジネス先として、世界からも注目されている。

BIOFACH CHINA 前年の実績発表では、昨年2017年は17カ国、地域から約480社が出展し、2016年(2016年は337社)から41.2%の増加、34の国や地域からおよそ18,000人(2016年は16,546人)が集結し、前年から7.3%の増加となった。6月20日現在、公式サイトでの発表が無いため2018年の正式な数字は不明だが、VISITOR GUIDEに記載されてるブース数を数えてみるとおよそ200ほど。ここにきて展示会規模は縮小傾向か?あるいは、2018年7月にはじめてタイ・バンコクでの開催が決まった「BIOFACH SOUTH EAST ASIA」と時期も近いことから、海外からの出展者が分散されてしまったということも考えられる。

※「BIOFACH CHINA」2018年の実績がリリースされたらアップデートします。

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2018年7月18日追記

BIOFACH CHINA 2018
出展者:262社      (前年よりマイナス214社)
来場者:16,787人 (前年よりマイナス968人)

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世代や民族、地域によっても食べ物やライフスタイルが異なる中国。出展者の規模もブースづくりの力の入れ方は様々で、昔ながらの中国を彷彿とさせるものもあれば、新世代の若者のパワーを感じる、デザイン性の高い気合を入れたブースも多い。商品パッケージなどもかなりオシャレなものになってきている。

国内出展者の中で目立っていたのは、有機野菜などの宅配、米や豆類、醤油や味噌、酢などの調味料、そしてやはり中国茶だ。

ブース内ではゆっくり座れるスペースを確保し、急須でお茶を入れて試飲してもらうスタイル。ティーパックタイプなど、急須が無くても手軽に飲めるタイプのラインナップも豊富だ。中国国内の有機認証の他に、EU、USDA、JASなども取得することで、世界各国への輸出に力を入れていることがうかがえる。

ここ数年、欧米系の大手コーヒーチェーン店でも緑茶製品が販売されるようになったこともあり、有機をはじめ良質な茶葉への需要が高まっている。お茶の品評会も賑わいをみせ、メディアの取材の姿も見られた。

上海の百貨店の食料品店売り場や、世界各国の輸入食材を販売する香港発スーパー「city’super」では、有機認証の調味料が売られている。良く見かけるのが、禾然有机 (HONA ORGANIC)というメーカーのもの。2002年に設立され、いまでは有機醤油、酢、油、味噌、蜂蜜なども展開している。今回のBIOFACH CHINA でも存在感を見せていた。

中国国内ではGLUTEN FREE(グルテンフリー)の認知度は低いようだが、会場では米粉を使った有機のグルテンフリーライスヌードルや、インスタント麺を製造しているメーカーが大きなブースを構えていた。話を聞いてみると、中国国内では販売していないが、欧米への輸出実績はずいぶん前からあるという。

世界、特に欧米では既に、インスタントやレトルト食品もオーガニックのものが豊富にある。そのうちの「米」などを主とする製品の多くが中国やタイなど、アジアで作られている。日本の大手メーカーのインスタント麺は世界各国に輸出されていてどこでも買えるが、「ORGANIC」「GLUTEN FREE」をコンセプトにした日本の製品は見たことがない。米もインスタントラーメンも、日本の得意分野のはず。世界の流れに乗り遅れないよう、日本メーカーも動き始めてほしいと思う。

小規模ながら設けられていたのが、素食(ベジタリアン)のエリアだ。ちまきや豆腐、麺類や飲み物など、その場で購入してテイクアウト可能なOrganic Kitchenコーナーは特に大盛況だった。今回出展していた2つのレストランに実際に訪れてみたが、クリーンでおしゃれなレストラン店内、味、盛り付けも、クオリティが高いヴィーガンメニューの数々に驚いた。

食品に比べて化粧品の出展社は少なかったが、あるオーガニックコスメメーカーから話を聞くことができた。中国国内で海外の化粧品を販売するには、CFDA(China Food and Drug Administration)で申請し承認を受ける必要がある。手続きの難しさ、費用、時間などもかかることで、中国への化粧品の輸出はかなりハードルが高い。そこで、このメーカーでは海外のオーガニックメーカーのブランドライセンスをもらい、中国国内で生産しているというかたちをとっている。有機認証の原料を輸入して同じレシピで製造。製品そのものに認証はないが、原料としてはその品質が担保されており、オーガニックブランドも名乗れている。

オーガニックコスメはここ最近、中国でも人気となっていて、広告などでも大手メーカーがオーガニックやナチュラルを謳うようになってきたという。ところが、実際にはオーガニックとは言えないものもあって、いったい何をもってオーガニックなのか?あいまいな基準が消費者を混乱させているという。日本と、同じだ。

オーガニックコスメの取扱いは中国国内ではまだまだ少ないが、オーガニックコスメの認証制度とその認知、啓蒙の必要性を、メーカー側も既に感じているようだった。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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