スペイン、バルセロナのショッピングモール内にあった、大型スーパーマーケット「Alcampo」。一般大衆向けの比較的安い価格設定のスーパーだったが、オーガニック製品を多数取り扱っており、同時に人々の「健康」づくりに貢献するための食品を積極的に販売促進していたことに驚いた。

とりわけグロッサリー売り場では、棚全段、端から端まですべてが「BIO(オーガニック)」製品を集めたコーナーと、グルテンフリーを中心とした食事療法のための特別な食品「健康ソリューション系食品」のコーナーが、大きくスペースがとられ店舗の中央に並んで鎮座していた。天井からは、遠くからでも目立つサインも掲げられている。

BIO(オーガニック)のグロッサリー売り場は、常温保存の食材だけでなく、乳製品、ハムやソーセージ、豆腐などのための冷蔵ケース、冷凍食品まですべてが揃っている。

青果売り場は、やはり全体量から見たらまだまだ少ないが、柱回りにぐるりとオーガニック野菜コーナーが設けられている。グロッサリー同様、天井からのサインと、同じデザインのパネルなどで、売り場を目立たせている。ほかにも冷蔵ケース内にはカット野菜やサラダパックのBIOのものが、慣行のものと一緒に多数並んでいた。

余談になるが、この青果売り場コーナー、下を見るとキャスターがついている。大きなボックス什器の上に、折り畳み式のコンテナBOXを置いていると思ったら、、、

キャスター付きの平台車の上に積んでいるのだろう。BOXを積み重ねてできていた。もし、納品の際に使われるものをそのまま積んでるとすれば、段ボールのゴミも出ないし、ストックも兼ねることができて効率的だなと思った。それにしてもものすごい数のBOXだ・・。

こちらはお肉のコーナー。一般の肉は壁際の冷ケース、BIOの肉類は冷蔵の平ワゴンで展開。専門店ではないはずなのに、BIO(オーガニック)畜産物の品揃えの多さに驚く。

POPなども使って丁寧に説明しているのが印象的だ。

そして、売り場で目についた青いサイン。BIOコーナーに多く見られて、なんだろう?と気になっていた。

乳製品のコーナーでは特に、この青いサインと一緒によく見られた文字が「0%M.G.」。なんとなく、乳製品で0%といえば脂肪分?無脂肪ということかな?と想像はできたが、帰国後調べてみると、やはり「M.G.」とは、フランス語の「matiere grasse」を略したもののよう。下の写真のヨーグルトはよく見ると「0.3m.g.」脂肪分0.3%ということを示している。ちなみに「M.G.」同様に「0% Sucres Ajoutes」と書かれた製品も多いのだが、これは砂糖不使用を意味するものだ。

現地在住の方に聞いてみたところ、この数年、スペインでは肥満率の高さ、とりわけ児童の肥満率の高さが問題視されているそうだ。脂肪分のとりすぎが、肥満の原因一つだとされ、低脂肪や無脂肪などの製品を中心に、ヘルシーな食品が注目されているとのことだった。

では、この青いサイン「LA VIDA BLAVA」の意味は何だろう?と思い、調べてみたところスペイン語の翻訳では出てこない。調べているうちに「BLAVA」は、カタルーニャ語で「青」を意味するということがわかった。

このスーパーでは、人々の「健康」づくりに貢献するための食品群を、このブルーのイメージカラーとサインで示すことで、トランス脂肪酸フリー、低脂肪、無脂肪、ノンシュガー、ノンGMO・・・などを分かりやすく伝え、賢い食品選びを助けるためのツールとして活用していたのだった。QRコードを付けているのは、「健康づくり」のためのプログラム等を提供している、自社のスマートフォンのアプリと連動させるためらしい。

このような「LA VIDA BLAVA」ブルーライフ、と称して健康的なライフスタイルを推奨する売り場、わかりやすいイメージカラーやサインの使い方、スマホとの連動など、日本でもお手本として取り入れられそうだ。実際に売場でQRコードをかざす消費者は、まだまだ少数派だと思うが、生産者の履歴を見る仕組み、アプリを作り実践しているところはある。

個人的には、まず先に「オーガニックって何?」「有機JASマークって何?」という事を売場で伝えるため、キービジュアルを統一したり、アプリを活用した方がいいのでは?と思っている。生産履歴を見たり、トレーニングプログラムや栄養に関する知識云々より、まずは根本的な所、地道なことから。オーガニックスーパーなど専門店では、目的をもって買いにくるお客様がほとんどなので、むしろまだ有機の取扱いの少ない一般のスーパーが中心となって・・・。政府の有機農業推進の活動として・・・。こういった取り組みをうまくできれば、オーガニックの裾野はもっと広がると思う。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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