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Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック

2019 / 03 / 24特集コラム


2017年にWhole Foods Marketの買収ニュースが駆け巡り、オーガニック業界でも何かと話題の米Amazon。2018年には無人決済店舗、Amazon Go(アマゾンゴー)の展開を開始。シアトルに1号店ができてから、既に数店舗オープンしているという。そんな話題のAmazon Goのサンフランシスコ2号店で、実際に買い物体験してきた。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック

店内に入ると、まずは地下鉄の改札口のようなゲートが登場。ここでスマホであらかじめインストールしておいた、アプリのQRコードをかざして入店する。天井や棚などのカメラやセンサーなどがあるというが、全くと言っていいほど気にならない。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック
レジが無いと聞いていたので完全に無人の店舗を想像していたのだが、実際には3~4人ほど、アマゾンカラーのユニフォームを着たスタッフが常駐していた。基本は品出し要員だ。黙々と商品の補充をしていて、声がけなし、接客なし。

あまりに整いすぎていてちょっと不気味に感じるくらい、整然と商品が陳列されている。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック

ゲートの手前にはイートインコーナーもあって、カトラリー類や電子レンジも完備されている。店内で買った食べ物をここですぐに食べることも可能だ。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック
印象としては、レジが無いというだけで日本のコンビニとあまり変わらない。品揃えはほぼ食品で、オーガニックもちらほら。カットフルーツはあるが、いわゆるそのままの野菜や果物、生鮮品は販売していなかった。そんな中、Amazonのミールキットが販売されていた。

キャッシュレスでレジ待ちなどの煩わしさ、買い物時間を大幅に短縮できるというAmazon Go。調理時間が短く、毎日の食事の準備の負担が軽減できるミールキットは、ターゲット層と、提供する商品やサービスとの相性も良さそうだ。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック
全体的な品ぞろえとしては、特に飲料やお菓子の他、サンドウィッチやバーガー類、サラダやデザートなどの弁当・総菜系が充実している。プライスカードには、VEGITARIAN、VEGAN、GLUTEN FREEなどのアイコンも。原料名に「Organic」の文字も目立つ。エスニック、アジア系フードも充実しており、全体的に健康志向の品揃えという印象だった。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック
Amazon GoのPBパッケージの品も多い。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック

ちなみに、ショッピングバッグと紙袋は有料なのだが、何故かこれだけはスマホのアプリから自分で枚数を選び、手動で購入する仕組みになっていた。ショッピングバッグには「GOOD FOOD FAST – amazon go」というメッセージが!

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック
実際にミネラルウォーターとサンドウィッチ、ショッピングバッグを購入してみることにした。Amazon Goではレジを通らないのはもちろん、バーコードをスキャンする必要もないので、商品をバッグに入れてそのままゲートを出るだけでお買い物が完了する。まるで万引きをしているかのような罪悪感と、本当に大丈夫かな?という不安感・・・。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック
そのままショップを出ると数分でアプリに通知が!購入した内容に間違いも無かった。

なるほど、これは確かに便利なサービスだ。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック

では、オーガニック的にはどうか?

Amazon Goはオーガニックやナチュラルをコンセプトとしてはいないが、実際に取扱いも多いし、店のウィンドウにも「GOOD FOOD FAST」というキャッチコピーが。既にホール・フーズ・マーケット(Whole Foods Market)もAmazonの傘下にあるのだから、“レジの無いオーガニック専門店”をつくることだって、理論上可能ではある。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック

ふと、英テスコTescoが米国に進出し、いつの間にか閉店してしまった「フレッシュ&イージー(Fresh & Easy Neighbourhood Market)」を思い出した。小型スーパーで全セルフレジ。お会計にかかわる人員や無駄を省いた陳列でコストを削減し、そのぶんリーズナブルな価格で商品を提供。オーガニック&ナチュラル製品をPBでも多数展開していた。あの当時としてはまだ時代を先取りしすぎていたのかもしれないが、「売っている商品はオーガニックだけど、お店がオーガニック的ではない」という違和感を感じたことを覚えている。お買い物をするワクワク感が全く感じられなかったのだ。

今回のAmazon Goも同様に、オーガニック専門店だけでなく一般のスーパーにある、旬の野菜や果物、生鮮品の季節感やフレッシュさ、焼きたてのパンや作りたての総菜のあたたかさや香りが感じられない。量り売りの楽しさが体験できない。店員との会話によるコミュニケーションもない。整然と並べられた商品たちに勢いがなく冷たさを感じてしまう。なによりも、すべて包装されているのでゴミも多く出るしエコじゃない・・・。

もしオーガニックショップの無人店舗ができたとしても、成功は難しいのかもしれない。

Amazon Go(アマゾンゴー)とオーガニック

それでも、確かにAmazon Goのような店舗は、オフィスビルの中やビジネス街にあれば便利だなと思う。ランチタイムの混雑も軽減されそうだし、学校や病院内の売店、駅のホームのKIOSKなどでも歓迎されるだろう。ちょうど日本では、コンビニの24時間営業の是非が大きな話題になっているところ。キャッシュレス化も急激に進みそうな勢いがある。人材不足の解消やコスト削減の意味でも、Amazon Goの仕組みとまではいかなくとも、日本でこれに近いコンセプトの店舗は増えるかもしれない。

オーガニック製品がネット通販でも一般のスーパーでも、手軽に入手可能となりつつある今、IT時代に取り残されている店や特色のない中途半端な店は、徐々に淘汰されていくのだろう。AIやIoTなどの活用が私たちの生活を大きく変える、この時代の流れは止められない。

それでも、人と人とのコミュニケーションサービスに対する需要が無くなることはない。いわゆるオーガニック的店舗のほうがむしろ時代に左右されることなく愛され続け、これからの時代に需要が高まっていく可能性も?

期待を込めて。

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佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

https://www.organic-press.com/about/