2018年4月22日、23日の2日間ロンドンで行われたNatural Organic Products Europe(ナチュラル・オーガニック・プロダクツ・ヨーロッパ展)へ今年も行って参りました。ヨーロッパのみならず、アメリカ・オーストラリア・タイなどのメーカーも出展しており、昨年より15%ほど展示スペースを拡大し、ビューティーのカテゴリーより食品の展示ブースが大きく賑わっていました。今年はターメリックやクルクマを使用したラテをいくつかのブランドブースで見受けました。それもそのはず、トレードショーのスポンサーになっているpukkaというマスブランドがターメリックティーを先駆けて発売していることを受けてか、コーヒーや紅茶の代用としてカフェインフリーのターメリックラテなどがウケています。

その他、個人的に気になったのが今回取り上げるスナック海苔のブランドです。お馴染みのClearspring(クリアスプリング)はじめ、オーストラリアのHonest Sea(オネストシー)やアメリカのOceans Halo(オーシャンズハロー)もスナック海苔を全面にブースを構えていました。

のりは韓国産の韓国海苔!

Clearspring、Honest Sea、Oceans Haloの3社が販売するスナック海苔は、どれも韓国で生産したオーガニックの海苔です。まず、Clearspring社はEU(欧州連合)のオーガニック認証を取得、Honest SeaとOceans HaloはUSDAのオーガニック認証を取得しています。

それぞれのメーカーは、手巻き寿司やおにぎり用の焼海苔も販売していますが、メインに売り出しているのは、韓国のりの味がついたものです。Clearspringの海苔は、オリジナル(塩味のオーソドクスなもの)・チリ・ジンジャー・ターメリックの4種類。そして、Honest Seaはシーソルト・セサミ・わさび・てりやきの4種類。Oceans Haloは、シーソルト、テキサスBBQ、マウイオニオン、チリライム、コリアンBBQ、スリラチャ、わさび、ベーコンの8種類です。

栄養たっぷりなスーパーフードの海苔!

海苔はスーパーフードと呼ばれるほど、ビタミンB12やヨウ素、食物繊維などの栄養が豊富で低カロリーなため、小腹が空いたときのスナックとして注目されています。韓国海苔にさまざまな味を加えたスナック海苔は手軽に美味しく食べられるため、スーパーマーケットのスナックコーナーに多く見受けられます。また、海苔と同様にワカメなどの海藻類もマクロビダイエットを好む人たちに人気を得はじめています。

オーガニックの海苔とは!?

冒頭で挙げている3つのブランドは、すべてオーガニックの認証を取得している海苔を使用しています。「海藻類にもオーガニックがあるの?」「潮の流れによって、農薬処理した海苔の水と交わらない?」このような疑問を持った方もいるのではないでしょうか。

そこで、上記で挙げたオーガニック海苔を販売している数社とオーガニック認証機関にコンタクトをして問い合わせてみたところ、英国土壌協会(ソイルアソシエーション)の方が、オーガニックの海藻類に関する資料(Version 1.0 – January 2016)を共有くださいました。

実は天然海苔の生産は皆無に等しく、ほぼ養殖で海苔は作られています。そのため、生産過程で農薬が使われることがあるようです。参考までにその内容の一部を簡単に紹介します。

周知されている「化学合成肥料や薬品の使用を極力最小限に抑えてる」ということ以外に、英国土壌協会発行の資料では、31ページに渡り細かく規定が示されています。

例えば、新しい養殖用のプランテーションを作るときは、「水汚染がされていないか」、「近隣事業の詳細含め、それがもたらす水汚染の可能性をどう最小限に抑えるのか」等を含め、調査した詳細を含めた計画表を提出するなど厳しい基準を設けているようです。

また、オーガニックとオーガニックでない生産ラインは「自然の状況」「別々の配水システム」「距離」「潮流」「上流・下流のロケーション」に基づき、養殖エリアを適切に分離するように、というガイドラインがあります。

そして忘れてならないのが、化学合成肥料や薬品をふんだんに使用する農業・水産業では土壌侵食が起こったり、水汚染が進んでしまいます。

一方、オーガニック農業・水産業では、合成石油系農薬や肥料に依存していないので、それぞれの汚染を大幅に低減させることが可能ということです。

それゆえに、野生動物や海水生物は繁栄することができ、自然界にも優しいオーガニックということです。消費する側のみならず自然界にもベネフィットがあるオーガニック農業・水産業がもっと普及していけば良いなと思います。

オーガニックのスナック海苔を食べてみて

今回のトレードショーでOcean’s Haloのマウイオニオン味のスナック海苔をいただきました。マウイオニオンとは、ハワイ州マウイ島で作られる甘みのある小さな玉ねぎです。食べてみると、確かに甘みのある韓国のりを食べているという感じでした。1パック、たった20カロリーというのは、小腹が空いたときのスナックとして、ダイエット中の人には嬉しいですね。ただ、やや湿気っていて海苔のパリっとした感触が全くないと感じました。日本は湿気が多い気候なので、煎餅や海苔の商品に梱包されている湿気を取り除く乾燥剤の質は優れていると感じます。そういった製造業者にとっても、海苔のような日本食材のブームはビジネスチャンスなのかもしれません。

海苔だけでなく、昆布だしも!

このOcean’s Haloは海苔の他にも、オーガニック昆布からとれるだし汁を販売しはじめました。味は、ラーメン・味噌・タイココナッツ・ベジ(ベジタブル)・フォー(ベトナム)の5種類です。欧米の家庭ではスープなどを作る際に使用する調味料として、ビーフ・チキン・ベジタブル・フィッシュ味のキューブ型のものが主流ですが、このような昆布だしを使った優しく深みのある味も徐々に受け入れられ、人気が出てくるのではないでしょうか。ぜひ、日本のメーカーも海苔の製造技術の提供や海藻類の輸出などで頑張ってほしいなと思います。

この記事を書いた人

鈴木 聖佳(すずき さとか)

約8年間、東京にて化粧品業界商社兼メーカーに勤務、Eコマース、カタログ通信販売のマーケティング&法人営業に従事。2012年よりロンドンへ移住し、3年弱、金融業界で勤務。そして、日本と「繋げる」・日本に「伝える」を仕事にし、現在は、ネゴシエーター・フリーランスライターとして活動中。特にオーガニック・ナチュラルプロダクトの食品・化粧品に関するマーケットリサーチ、インサイドセールス、ライティングをプロジェクトベースで行っています。

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