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急成長するイギリスのヴィーガン市場

2020 / 01 / 28特集コラム


1月はVeganuary(ヴィーガニュアリー)というヴィーガン推進月間です。Vegan(ヴィーガン)とJanuary(1月)をかけた造語です。2014年よりスタートしたヴィーガニュアリーは、現在178カ国で50万人以上の人々が賛同するほど認識されています。ヴィーガンの発祥地であるイギリスでは、1月限定のヴィーガンメニューを提供しているレストラン・カフェ・パブを多く見かけます。

急成長するイギリスのヴィーガン市場

どこに行ってもヴィーガン!

ヴィーガンの食生活をすることで健康に関するベネフィットを得られるとともに、環境問題に関心のある新たなヴィーガンが生まれています。昨今、「気候変動」という言葉を盛んに耳にするようになり、話題として取り上げられることの多い温室効果ガス問題です。その総排出量の18%は畜産農業が要因と言われています。

以前のコラムでヴィーガンプロダクトに焦点を当てた時に比べ、食品業界および外食産業のトレンドとしてヴィーガン市場はさらに急成長をしています。

イギリスに約400店舗あるサンドイッチやコーヒーなどを販売するPret Mangerは、2016年9月、ロンドンの繁華街ソーホーにヴェジタリアン・ヴィーガンというコンセプトで期間限定のポップアップストアをスタート!現在そのポップアップストアは通常店舗となり、Veggie Pretはロンドン市内で5店舗にまで増えました。野菜中心のサンドイッチのみならず、ヴィーガンも楽しめるバター不使用のクロワッサンやライスココナッツミルクやソイミルクを使用したホットドリンクを提供しています。

急成長するイギリスのヴィーガン市場

また、どのスーパーマーケットでもヴェジタリアンやヴィーガンのレディーミールの食品が棚をにぎわせています。「2018年にイギリスでは、どの国よりもはるかに多くのヴィーガンまたは肉不使用の商品が発売されました。」そして「2019年に発売された新しい食品の23%がヴィーガンで、肉を使用しないミートフリー食品の売り上げは、2014年と比較して40%の増加となり、おおよそ8億1600万ポンド(2019年1月23日現在日本円換算:約1,170億円)の市場」へと急成長しています。(引用元:Mintel

加えて「ヴィーガンメニューの注文は、2016年から2018年の間に388%増加し、テイクアウトの選択肢として急成長しています。」(引用元:Food navigator

そして「肉不使用の食品の需要は、イギリスで2017年に987%の増加しており、ヴィーガンになることは2018年の最大の食品トレンドになると予測されていました。」(引用元:Planet based news

これらの数字からヴィーガンがどれほど勢いのあるカテゴリーなのかを感じとることができるでしょうか。

 

急成長するイギリスのヴィーガン市場

全原材料:Water, Soy Protein Concentrate (28%), Canola Oil, Flavouring, Pea Protein Isolate (2%), Sea Salt and Black Pepper Seasoning [Sea Salt and Black Pepper Seasoning contains: Maltodextrin, Spice (Black Pepper), Sugar, Yeast Extract Powder, Natural Flavouring, Sea Salt], Potato Starch, Maltodextrin, Pea Fibre (1%), Salt, Titanium Dioxide, Iron, Vitamin B12.

肉という触感が好評!THIS 

これまで動物性製品を不使用というヴィーガン食品は無数にありました。例えば、肉の代用として豆腐や豆を材料のひとつとして調理されたレディーミールなどが代表的です。今回紹介するのは、ヴィーガンのための肉!という新しい切り口で売り出されているあたかも肉という商品です。斬新で面白いので購入してみました。

急成長するイギリスのヴィーガン市場

要冷蔵の食品ですが、すでに調理済みなのでこのままひとつ食べてみると食感・味はチキンのそのものです!少し缶詰に入ったツナのような匂いもします。水・大豆たんぱく濃縮物(30%)・ひまわり油などを主原料としておりますが、何も言わずに食卓に出したら、恐らく全員がチキンだと思って食するレベルです。さらに味を加え調理をすることで、もっとチキンらしく食べられます。実際にこれを使用し唐揚げをしてみましたが、高温で揚げた時の肉独特のジューシーさは欠けるものの鶏肉ささみを揚げたような感じとさほど変わりません。そして100g辺りの栄養素は脂質を4.0gまで抑え、たんぱく質は22.7gと高く、健康的なチキンの代替食品です。

急成長するイギリスのヴィーガン市場

全原材料:Water, Soy Protein Concentrate (24%), Soy Protein Isolate (8%), Flavouring, Pea Protein Isolate (4%), Colouring food (Radish, Carrot, Paprika), Potato Starch, Salt, Canola Oil, Maltodextrin, Iron, Vitamin B12

このブランドでは全8種類のプラネットベースミートがあり、グレート・テイスト(Great Taste)と呼ばれるイギリスの食のアワードの1つ星を2019年に取得しているプラントベースのベーコンがあります。「イギリスの食事はおいしくない」という古い評判がありますが、このグレート・テイストのアワードを受賞した食品はどれもおいしいです。

パッケージの調理法に従い3~5分ほどベーコンの両面を焼いてみました。いかのくん製のような匂いとカリッとした乾いた食感が特徴です。水・大豆たんぱく濃縮物(22%)・大豆タンパク質分離物(7%)などが主原料で、肉はまったく使用されていませんが、食べるとビールのつまみとしても楽しめます。例えばバーガーやBLTサンドイッチにはさむと、誰もがベーコンだと思って食べることでしょう。ベーコン特有の脂身を焼いたジューシーさ、油っぽさが苦手な方にもおすすめです。

急成長するイギリスのヴィーガン市場
イギリス国内では、すでに大手チェーンレストランやテイクアウトショップ34社、計510店舗以上でこのTHISの食材を使ったメニューが提供されています。食材として提供している外食産業が思いのほか多いためスーパーマーケットなどの小売店よりもシェアが大きいのでは?と思いメーカーに問い合わせをしてみると、「内訳の詳しい数字は言えないが、どちらの売り上げシェアも同じくらい」ということでした。

THISの共同経営者のおふたりは、もともと牛肉を使ったハンバーガーのチェーンレストランを設立および運営していました。畜産農業のなかでも特に牛は一番多くの水を消費し、CO2排出量はダントツです。そういった環境問題に着眼し、約1年半の歳月をかけ2000食以上の試作を繰り返してようやく完成した食品です。

レビューも高評価で、多くの消費者にも受け入れられているようです。なかでも、肉っぽい食感が好評です。その肉のような食感をどうやって再現したのかメーカーに訪ねましたが、企業秘密のため製造プロセスの詳細は残念ながら教えられないということでした。ただ、簡単に説明をすると「熱や圧力、水を導入して肉のような繊維の食感を生み出すことができる」のだそうです。

このように急成長を遂げているヴィーガンの市場ですが、究極を貫くヴィーガン消費者もいるようで、ヴィーガン農法やヴィーガンとオーガニックをかけたヴィーガニック農法という言葉を昨今耳にするほどです。それらの農家は畜産業を手掛けず、また牛のフンなどの動物性肥料ではなく植物性肥料を使用し野菜や果物を栽培するようです。機会があればこの話題もいつか取り上げてみたいです。

 

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鈴木 聖佳(すずき さとか)
約8年間、東京にて化粧品業界商社兼メーカーに勤務、Eコマース、カタログ通信販売のマーケティング&法人営業に従事。2012年よりロンドンへ移住し、3年弱、金融業界で勤務。そして、日本と「繋げる」・日本に「伝える」を仕事にし、現在は、ネゴシエーター・フリーランスライターとして活動中。特にオーガニック・ナチュラルプロダクトの食品・化粧品に関するマーケットリサーチ、インサイドセールス、ライティングをプロジェクトベースで行っています。
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