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ドイツはレジ袋禁止へ!小売はどう変わる?

2019 / 11 / 29特集コラム


11月6日、ドイツ連邦内閣は使い捨てプラスチック袋の禁止を閣議決定しました。既に施行されている「包装法(Verpackungsgesetz)」に禁止事項を盛り込み、改正案として議会に提出されます。その後、法案が可決すれば50μm以下の使い捨てプラスチック袋、いわゆるレジ袋の使用が禁止となります。

ドイツにおけるレジ袋規制の内容

現在、ドイツにはイギリスやフランスのようなレジ袋の有料化や使用を禁止する法律はありません。ドイツ環境省とドイツ小売業連盟(HDE)間の任意協定によって、連盟が小売店に有料化を義務付けているのみなのです。

そのため効果は限定的。2016年から進められている有料化によってその消費量は確実に減少してきてはいるものの、ドイツ政府が期待された値には届かず、今回の決定となりました。

【使い捨てプラスチック袋* 年間消費量の推移】
2015年 一人当たり58枚(総数48億枚)
2016年 一人当たり38枚(総数31億枚)
2017年 一人当たり25枚(総数21億枚)
2018年 一人当たり20枚(総数16億枚) ⇒禁止によってゼロへ
*厚さ15~50μmの軽量なプラスチック製の袋
(出典: https://www.bmu.de/wenigeristmehr/

ドイツはレジ袋禁止へ!小売はどう変わる?

大手スーパーの多くはレジ袋を廃止し、ショッピングバッグを有料で販売している

禁止の背景にある消費者の動き

以前もコラムで紹介したようにドイツではプラスチックフリー・パッケージフリーをうたうショップが各地で増えており、消費者のプラスチックごみ問題に対する関心の高さを表しています。見方によってはその流れに押されてドイツ政府が動いたとも言えます。

レジ袋が正式に禁止となれば、プラスチックフリーな消費を求める動きが今以上の広がりを見せることは想像に難くありません。

ドイツはレジ袋禁止へ!小売はどう変わる?

オーガニックスーパーに見る小売の未来

では、消費の要であるスーパーなどの小売店はどのように変わっていくのでしょうか。
先行例として参考になるのが、企業としてドイツサステナブルアワード受賞歴もある老舗オーガニックスーパーチェーン「Alnatura(アルナトゥラ)」の取り組みです。

◆青果用のプラスチック袋の使用を中止し、紙袋のみ無料提供
今春から使用中止。これによって年間20トンのプラスチックごみを削減できるとしています。

ドイツはレジ袋禁止へ!小売はどう変わる?

◆裸売りの食品をそのまま入れられるコットン製の袋を販売
もちろん包装にプラスチックは使われておらず、紙帯や紙箱を使用しています。

ドイツはレジ袋禁止へ!小売はどう変わる?

青果用のコットン袋(2枚入り2.99ユーロ(約359円))※1ユーロ=120円換算

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青果用のネット(4枚入り6.9ユーロ(約828円))※ポリエステル製

ドイツはレジ袋禁止へ!小売はどう変わる?

パン用のコットン袋(1枚 1.99ユーロ(約239円))

◆オリジナルショッピングバッグは用途に合わせて紙製、コットン製、ビニール製を販売

ドイツはレジ袋禁止へ!小売はどう変わる?

コットン製のトートバッグは6.95ユーロ(約834円) ビニール製のクールバッグは2.79ユーロ(約335円)

◆コットン製ショッピングバッグや袋はオーガニック・テキスタイルの世界基準「GOTS認証」を取得

ドイツはレジ袋禁止へ!小売はどう変わる?

今回の法案ではバイオマスや生分解性のプラスチック袋も禁止対象となっており、代替として繰り返し使える素材または仕様のショッピングバッグや袋の利用が推奨されています。すでに青果売場で食品用ネットの販売を始めている大手スーパーもあり、ショッピングバッグや袋の開発、販売に拍車がかかりそうです。

手放しで喜べない点も

一方で食品用のゴミ袋や生鮮品を包むビニール袋など、衛生面から必要とされる厚さ15μm未満のプラスチック袋は禁止対象外となる予定で、プラスチックごみ削減という意味ではまだまだ課題として残ります。ドイツ政府や関連省庁には抜本的解決に向けた議論を引き続き重ねていってほしいものです。

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神木桃子(こうぎももこ)プロフィール

オーガニックとローカルをテーマに食の魅力を探求し続けるレポーター。
オーガニック専門店を運営する会社にて販売・バイヤー職に、地域産品のコンサルや販売を行う会社にて営業・バイヤー職に従事し、商品企画から流通、販売まで幅広い経験を積む。
2014年秋からドイツ在住。