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サンフランシスコのファーマーズマーケットは子供の食育の場

2016 / 12 / 9特集コラム


ガイドブックにも必ず載っているサンフランシスコの観光&グルメスポット、フェリービルディング(Ferry Building Marketplace)。ここでは、ビルディング内の商業施設内に常設されたお店だけでなく、毎週火、木、土曜にはファーマーズマーケットが開催されている。特に土曜日はファーマーズマーケットに出店する地元農家さんも多いため、食材の仕入れのために味を運ぶレストランのシェフや、新鮮な野菜や果物を求めるお客様で賑わい、毎週およそ40,000人の買い物客が訪れているという。

サンフランシスコのファーマーズマーケットは子供の食育の場
Ferry Plaza Farmers Market(フェリープラザファーマーズマーケット)は、日本の都市型マルシェに比べると開催時間が短く、火曜日・木曜日は10:00~14:00、土曜日は8:00~14:00。出店する農家さん目線で考えると、朝早くに農産物を収穫して移動、ファーマーズマーケットでの店じまいが夕方ともなれば1日がかり。終了時間が遅くなるとほぼ丸一日、農作業などの時間が奪われてしまうことになるのだから、14時で店じまいというのは生産者ファースト。

また、出店しているいくつかの農家は、年間売上の50%以上がシェフの仕入れによるものだと報告しているそうだ。レストランなどのオープン前に仕入れにくるとを考えれば、朝から昼前くらいがピークになることも想像できる。

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ここで定期的に買い物をするシェフには、駐車場の優先使用や特別な特典を設けるなど実需者のニーズを的確に捉え、小規模の家族経営のオーガニック農家と近隣のレストランの直接取引を積極的にサポート。シェフはメニューに農場名を記載することで農家のPRを行ったり、ステージで料理デモンストレーションを行うなど、マーケットで販売される旬の農産物や食材を普及するのに大きく貢献。

日本では生産者と一般消費者の交流の場でありイベント的な要素も強いのだが、このフェリープラザファーマーズマーケットは、出店者が安定的な取引を実現することで事業をより持続可能にするような支援を行い、市場を拡大させる役割の一端を担っている。

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また「食育」に対する取り組みも注目してほしいポイントだ。平日のファーマーズマーケットと開催日に足を運んでみたところ、「Foodwise Kids」と称した小学生向けの教育プログラムが行われていた。Foodwise Kidsプログラムは、公立学校の1年生から5年生まで35名までのクラスが無料で参加可能。火、木のみ10:00から12:30迄、または10:45:から13:15まで開催されているとのことだった。

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実際に旬の果物や野菜の試食をしてみたり、ナイフの使い方など基本的な料理スキルや、サラダやドレッシングなど簡単な調理を学ぶ子供たち。もちろん、ここで使う食材はファーマーズマーケットで直接選んだもの。小グループの単位でマーケットに出向き、直接農家(生産者)に会い、食べ物がどこで、どのように栽培されているかについてなど質問。そして直接料理教室に使う食材を選択する。支払いには、運営者のCUESAが提供するトークンを使用し、リアルなショッピング体験も可能だ。

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日本の場合、平日に行われるファーマーズマーケットが少ないことや、衛生面や安全性などの不安から、教育の一環として学校がマルシェと提携することはまだ難しいのかもしれない。それでも、学校での学びだけでなく、教室を飛び出して直接食と環境を学ぶ「食育プログラム」に、ファーマーズマーケットという場は最適かもしれない。

サンフランシスコのファーマーズマーケットは子供の食育の場

フェリープラザファーマーズマーケットでは、子供向けだけでなく「Schoolyard to Market」という青少年の育成や起業家へ向けたプログラムも設けている。高校生が学校で野菜や苗を栽培し、ファーマーズマーケットで販売する機会を提供するというもの。実践的な体験から農業とはどのようなものか、サステナビリティ(持続可能性)についてや食料システムの理解を深めることができる。また、その農産物を販売することで、マーケティング、顧客サービスなどのスキルも身につける。

サンフランシスコのファーマーズマーケットは子供の食育の場

このような取り組みは、日本でも高校生や大学生による商品開発や販売実習として、よく耳にするようになった。どちらかというと、食を通じた「地域おこし」への取組のイメージのものが多い。しかし、それはサステナブルな考え方に基づくモノづくりかどうかは?必ずしもそうとは限らないようだ。是非、オーガニック視点での食育プログラムを期待したい。

※写真は2014年3月に撮影

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佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

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