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日本の自然食品店が台湾へ進出。異国の地で「売れる」予測の難しさ / こだわりや台北信義店(胡田和里家)

2016 / 08 / 15特集コラム


国内外で40店舗(2016年8月現在)の自然食品店を展開する株式会社こだわりや。2015年2月に海外店舗「胡田和里家 台北信義店」をオープンしてから、もうじき約1年半。そんな、こだわりや台北信義店の現地取材をさせていただいた。

胡田和里家 台北信義店
台北市信義區基隆路二段13號
TEL:02-2345-2870
MRT 台北101/世貿駅 徒歩5分
http://www.kodawariichiba.com/tw/zh-tw_index.html

台北101や世界貿易センターに近い観光地でもあり、台北のトップ企業や外資系会社が集まるビジネス街にほど近い好立地にある「胡田和里家 台北信義店」。店舗面積はおよそ35坪ほどで、日本からの有機加工食品等がおよそ300SKUと、現地調達品のおよそ2割を占めている。青果生鮮品類は日本から「輸出」というかたちではなく、ローカル、輸入含め台湾で調達したものを販売。店長以外のスタッフはすべて現地採用している。

日本の自然食品店が台湾へ進出。異国の地で「売れる」予測の難しさ / こだわりや台北信義店(胡田和里家)

店内のレイアウト、ゾーニングや売り場づくりは基本的にジャパニーズスタイルで、明るく清潔感がある。日本ではおなじみだが、台湾ではあまり見ない店頭軒先の売場があり、主に加工品等を展開していた。ちなみに店頭といっても屋根付きなので、雨が降っても安心な設計だ。

入口入ってすぐの手前中央には、販促品を展示するテーブルや什器を設置。左手から壁に沿ってオープンタイプの冷蔵ケースで、野菜、生鮮品を展開。続いて扉付きの冷蔵庫が奥へと続き、冷凍庫で肉や魚、冷凍品を販売している。

日本の自然食品店が台湾へ進出。異国の地で「売れる」予測の難しさ / こだわりや台北信義店(胡田和里家)

日本の自然食品店が台湾へ進出。異国の地で「売れる」予測の難しさ / こだわりや台北信義店(胡田和里家)

中央の什器には菓子類、店内奥から右壁沿いにぐるりと日用雑貨、加工食品、調味料類、そして酒類のコーナーと続き、最後出口手前(正面から入ってすぐ右手)にレジを設置。有機野菜から始まり、生鮮品、肉や魚、パン、菓子、調味料、酒類・・・必要なものは満遍なくそろっている。地元の自然食品店では、店舗スペースや什器のサイズに比べて空白も多く、商品の扱いが少ないという印象もあるのだが、ここ、「胡田和里家 台北信義店」は豊富な商品数に加え日本式の陳列もあって、他の自然食品店に比べても負けることのない品揃え、店舗力の高さをイメージさせる。

日本の自然食品店が台湾へ進出。異国の地で「売れる」予測の難しさ / こだわりや台北信義店(胡田和里家)

客層について訊ねたところ、主に購入するのは30~40、50代女性。台湾在住の外国人や日本人の利用が多いかと思ったらそうでもなく、台湾の方が普通に利用しているという。お店の立地がオフィス街に近いことから、昼休みや夕方、仕事を終えた後に店に寄る方が多いそうだ。自然派のお菓子類は若い女性に人気。また、日本食、和食に使いたい食材や調味料など、一般の店舗で入手しにくいものを探しにきたり、まとめて注文する飲食店運営者も多いという。

日本の自然食品店が台湾へ進出。異国の地で「売れる」予測の難しさ / こだわりや台北信義店(胡田和里家)

日本の自然食品店が台湾へ進出。異国の地で「売れる」予測の難しさ / こだわりや台北信義店(胡田和里家)
筆者が事前に予想していた売れ筋は
・日本の素食(ベジタリアン食)
・カレーやラーメンなど日本らしい食品
・日本の天然調味料
・日本でもブームのスーパーフード

・・・だったのだが、予想は覆された。どれも特に売れ筋というわけでもないらしい。

実際、店長も同じように予測して品揃えしたものもあったそうだが、やはり「日本人からみた台湾人の嗜好」のイメージが必ずしも合っているわけでなく、実際に現地に来てみないとわからないことも多い。

日本の自然食品店が台湾へ進出。異国の地で「売れる」予測の難しさ / こだわりや台北信義店(胡田和里家)

台湾はベジタリアン人口が多いから、素食を求めてる人が多いはず?との予想に反し、実際には肉や魚、卵などを求める方が思いのほか多かったり、日本の自然食品店では人気の「有精卵」が、台湾では「命ある卵」である有精卵を食べることは仏教の教えである不殺生に反するため、ベジタリアンでない人も食べる習慣がなかったり・・・。

日本の自然食品店が台湾へ進出。異国の地で「売れる」予測の難しさ / こだわりや台北信義店(胡田和里家)

また、台湾では外食文化が盛んであまり料理をしない家庭も多く、若者、独身者の賃貸物件にはキッチンなしも多いとか。50元くらいから朝食を提供する店も多く、自炊をするよりむしろ外食の方が安く済む場合も。台湾の平均月収や台湾料理の外食費の価格などを考えると、多くの方にとって有機食品は、少し手が出しづらいものとなってしまう。

台湾においても、オーガニック市場はポテンシャルの高いマーケットとみることができる。しかしながら、嗜好の違い、食文化や生活習慣の違い、収入の格差もある中で、台湾の消費者に求められる有機食品は何か?異国の地で「売れる」を予測することはなかなか難しい。

そんな中奮闘する「胡田和里家 台北信義店」。とりわけ異国での店舗展開は手探りでのスタートとなった。前例のない試行錯誤の取り組みが、今後日本企業が海外に進出して店舗展開を行い、結果を出すためにはどのような視点や取組が必要なのか?成功の道筋、ヒントを見せてくれると期待している。日本のオーガニックスーパー海外進出の先陣を切った、「こだわりや」の今後の展開が楽しみだ。

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佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

http://www.organic-press.com/about/