ホーム > 特集コラム > 海外オーガニック情報 > 展示会 > 台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」にみたアジア有機食品業界の展望

台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」にみたアジア有機食品業界の展望

2016 / 07 / 10特集コラム


2016年6月22日〜25日、台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」が、台湾・台北市にて開催された。出展者、来場者ともに前年を上回る盛況ぶりで、1,100の出展者(2,148ブース)、67,599人を動員した。(海外ビジター:7,756人、国内ビジター:59,843人)

FOOD TAIPEI は有機食品専門の展示会ではないものの、近年健康意識の高まりとともにオーガニックへの注目も高まっており、有機食品メーカーも多数出展していた。

台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」にみたアジア有機食品業界の展望

台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」にみたアジア有機食品業界の展望

台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」にみたアジア有機食品業界の展望

土地に根付いた食文化と食慣習が優先

日本でも話題となったココナッツ関連製品やオメガ3系オイル、グラノーラ、いわゆるスーパーフードなどもあるにはあるが、これといったトレンド、ブームなどの傾向はみられなかった。もともと台湾では宗教上の理由などから菜食主義人口も多いことからベジタリアンブースを展開。素食(ベジタリアン食品)はブームではなく、ここでは日常にある定番のカテゴリーだ。台湾グルメといえば飲茶や点心、麺類など小麦粉を使ったものも多いが、米食、米麺などを食す文化もあり、あえてグルテンフリー食品がブームになる感じでもない。また、もともと屋台や町中にフルーツジュース屋さんも存在していることで、コールドプレスジュース専門店などは、市内でもほとんど見かけなかった。

これらのことを流行に乗り遅れている、と感じる人もいるかもしれないが、むしろ好感を覚えている。乗り遅れてはならじと、ひたすら欧米のトレンドを追いかけるのではなく、適度に取り入れればいい。台湾では海外からの影響は受けつつも、歴史や伝統に裏打ちされた独自の文化をベースとした食品に磨きをかける努力をしている。

台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」にみたアジア有機食品業界の展望

台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」にみたアジア有機食品業界の展望

テイストの異なるデザインが混在

台湾の有機食品のパッケージデザインは、若い世代から見ると、昔ながらで古臭いと感じてしまうもの、まぁまぁ許容範囲のもの、スタイリッシュなもの・・・など、旧世代、新世代にそれぞれ好まれるようなデザインが混在している状態だ。輸入品などは、日本では、欧米のパッケージデザインをそのままに、日本語で書かれた食品表示のシールを裏に貼って流通することが多いが、台湾では、あえて台湾風、繁体や簡体字を入れたオリジナルのパッケージにしているものが多いようだ。Made in Taiwan?と思ってよく見ると、実は輸入品であることもしばしばだ。

日本でも共通することだが、やはり一般の商品に比べ有機認証製品は値段が高い。良いものなのにその価値がうまく伝えられていなかったり、現代のライフスタイルにマッチしていないもの、ギフトなどに適していないものなどが今までは多かった。残念ながら、あまり洗練されていないデザインが多いのも事実だが、アジアらしさを新しい現代風のイメージで表現した、おしゃれなパッケージも台湾の有機製品には多く見られた。台湾の若手の生産者やクリエイターが積極的に提案し、有機市場を変えようとしている姿が垣間見えた。

台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」にみたアジア有機食品業界の展望

台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」にみたアジア有機食品業界の展望

外食文化・現代のライフスタイルに合う加工食品が不足

有機農産物そのものや加工度の低いものに関しては、有機認証されたものも多く流通しているが、複数食材を組み合わせ、熟成のような工程が必要な醤、中華系調味料のような有機認定品、便利なレトルトなどの有機加工食品はまだそう多くはない。

「有機食品の商品開発」という部分では、やはり欧米にまだ少し遅れを取っていると思われる。台湾は屋台や軽食店などが数多くあり、価格も安く外食文化が定着している国。だからこそ、有機で、かつ家庭で時間がかかる料理をしなくてすむもの、あるいはそのまま食べられる食品が必要とされていると思う。

海外製品を輸入すること、もしくは有機原料を国内でパッケージングして、有機食品を市場にたくさん流通させることは歓迎だが、アジアにはアジアの食文化があり、その土地でしか採れない野菜や果物、穀類、豆類、お茶、発酵食品、薬膳など魅力ある食材、調味料や加工食品などもある。アジアならではのローカル食材を用い、現代のライフスタイルに合った製品を開発していくチカラが、今、アジアの有機食品業界に求められている。


アジア有機食品業界への展望と課題

◎アジアらしさを打ち出した、地産地消の有機食品
◎複数食材を組み合わせた有機加工食品の開発
◎冷凍、レトルト、半調理品など便利な有機食品の開発
◎これから世代のライフスタイルに合うデザイン
◎有機食品を、もっと手頃な価格に

台湾最大級の食品見本市「FOOD TAIPEI 2016」にみたアジア有機食品業界の展望
*******************************

佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

http://www.organic-press.com/about/