2015年2月11日~14日、ドイツ・ニュルンベルグ(NURUNBERG MESSE)にて開催された、オーガニックの見本市BIOFACH and VIVANESS 2015。世界最大級のオーガニック専門展示会BIOFACH(ビオファ)と、ナチュラルパーソナルケア展示会VIVANESSが同時に開催される、オーガニック&ナチュラル専門のリーディング・トレードフェアだ。今年は、2,141社ものオーガニック食品企業(VIVANESSは203社出展)が一堂に集まり、世界136か国から44,624人ものビジター(主にバイヤー)が集結したという。ここ数年、出展者はやや減少ぎみではあるものの、ビジターは年々増加しており、世界的なオーガニック食品への高い関心度、ビジネスへの期待感が表れている。

BIOFACH(ビオファ)とNatural Products Expo

よく質問されるのが、毎年3月に開催されるアメリカ最大規模のナチュラル・オーガニック・健康・エコ関連製品のトレードショー、ナチュラルプロダクツエキスポ「Natural Products Expo West」との比較だ。

BIOFACHの大きな特徴は、厳格な有機の基準をクリアした製品のみが展示されること。ここに出展、出品するためには高いハードルがある。そのため、ここにあるものなら間違いない!と、世界各国のバイヤーから厚い信頼が寄せられている。基本的にBIOFACH(ビオファ)はオーガニックフードがメインのトレードショーであり、サプリメントや衣料品、雑貨、機器などはほとんど見あたらず、ごくわずか。一方のNatural Products Expoは、認証がないナチュラル製品も含め、幅広い分野の製品も展示される。サプリメントのカテゴリーが充実していることが大きな特徴で、オーガニック業界のみならず、健康食品メーカーやディストリビューターも、最新の素材や成分のリサーチ、情報収集のためにと世界各国から足を運んでいる。

BIOFACH(ビオファ)とNatural Products Expo West(ナチュラルプロダクツエキスポウエスト)、どちらも世界最大級のオーガニック展示会で、日本で行われる展示会とは比べ物にならないほど、ありとあらゆるビオ、オーガニック製品がずらり。そんな中でも、BIOFACH(ビオファ)では日常の食生活に欠かせない、ベーシックな食材を紹介しているブースが多く、各社こぞって熟練の味や製法などこだわりを追求したものが豊富にある。流行は追わない!といった、どこか頑固さ、プライドのようなものすら感じられる。国柄がそのまま現れてるとでも言おうか。

もう一方のNatural Products Expo(ナチュラルプロダクツエキスポ)では、より食卓を楽しくするアイディアであったり、現代のライフスタイルに合う、より手軽に食べられるように工夫された加工食品といったものなども豊富。トレンドにも敏感で、まさに今ブームに火がついているものから、今後のヒットを狙って仕掛けているであろうものなどもあり、アメリカの最新のものにいちはやく触れられる、そんな展示会だ。

2月、3月と開催時期が近いため、「どちらの展示会に行った方が良いと思うか?」といった質問もよく受けることがある。どちらも足を運べればいいのだが、どうしてもどちらかにしぼりたいという場合、オーガニックビジネスをこれから始める方、世界のオーガニック市場の規模感、品揃えや全体感をつかみたい方、ヨーロッパ発のものでオーガニック認証された食品の輸入や取り扱いを具体的に考えている方であれば、BIOFACHへ。これから数年後、日本でどんなものが流行るか?商品開発のヒントを得たいメーカーの方、ユニークな製品を扱いたい方、トレンドをリサーチしたいバイヤーなどは、Natural Products Expoをおすすめしている。

オーガニック業界のトレンド2015

ドイツのBIOFACH 2015(ビオファ)では、ある特定の素材のトレンドといったものは印象に残らなかった。今日本でブームとなっているココナッツ関連やスーパーフード、昨年アメリカでも人気であったキヌアやケールチップスなどといったものも、目立たず。

そんな中で大きな流れとして感じられたもの、キーワードは「VEGAN(ヴィーガン)」「GLUTEN FREE(グルテンフリー)」「LACTOSE FREE(ラクトースフリー)」。トレンドというより、既に市場に定着していると言っていい。これらはもう特殊なものとしてではなく、必要不可欠な分野としてオーガニック業界、小売店でも認識。展示会の会場内にも、カテゴリーとしてVEGAN(ヴィーガン)のコーナーが設けられ、そこには多くの人でにぎわっていた。

オーガニックコスメが進化している

ナチュラルパーソナルケアの展示会VIVANESS 2015では、長年オーガニックコスメ業界を牽引してきた名だたる老舗メーカーを中心に、大小様々な企業が集まっている。毎年各メーカーが技術を磨き試行錯誤する中で、テクスチャーや肌への機能、効果といった部分での不満を解消。パッケージのデザイン性や利便性も含め、より一般の消費者に求められるものへと、着々と進化し続けている。

ドイツのオーガニックコスメメーカーLOGONAでは、今まで難しいと言われてきたビオのネイルカラー(マニキュア)や、まつ毛用の美容液を商品化するなど、今までオーガニックコスメにはなかったアイテムを続々と開発し、世に送り出している。

ある製品ではフランスの消費者によるブラインドテストにより、肌への効果が公正に評価されて賞を受賞するなど、オーガニックコスメにも、一般のケミカルコスメにも効果で引けをとならいないものがあると印象付けた。また、オーガニックコスメの老舗メーカー各社も、パッケージの刷新を図るなど、新たなイメージで新たな客層を掘り起こしたりなど、積極的に挑戦する姿勢が印象的だった。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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