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アリス・ウォータースの哲学が見える、学びの風景・エディブルスクールヤード

2013 / 11 / 20特集コラム


アメリカ、カリフォルニア州のバークレー市の公立中学校、MARTIN LUTHER KING MIDDLE SCHOOL(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア中学校)の「エディブル・スクールヤード」。「エディブル・スクールヤード」とは、日本語に訳すと「食べられる校庭」となる。

アリス・ウォータースの哲学が見える、学びの風景・エディブルスクールヤード

このエディブル・スクールヤード・プロジェクトが始まったのは1995年。もともとは駐車場だったキャンパス内のスペースを、アスファルトを剥がしてスクールガーデンに。学校内に菜園を作り、そこで収穫した作物を使ってキッチンで料理をつくり、食卓を囲む。これらを単なる体験実習ではなく、学校教育のカリキュラムに取り入れるという食育プログラムだ。

アリス・ウォータースの哲学が見える、学びの風景・エディブルスクールヤード

敷地内には、エディブルスクールガーデン、キッチンクラスのための建物がある。また、建物の外には、長いコミュニティーピクニックテーブルが設置されており、ここで生徒たちが食卓を囲むことも可能となっている。

アリス・ウォータースの哲学が見える、学びの風景・エディブルスクールヤード

畑を耕し、植物を植え、育て、収穫し、料理し、食卓を囲み味わい、残ったものは再び堆肥として畑へ。この基本となる循環を、活字からではなく体験から学ぶことができる。このような学びは、子供たちの心にも対しても、深い影響を及ぼしているという。

もちろん、今行われているプログラムはすぐに完成されていたものではない。教師をはじめ専任のスタッフ、外部のサポートも受けながら、長い時間をかけて1つ1つ積み重ねていった結果だ。一番大変だったのは、さまざまな考えを調整すること、だったそうだ。違う教科の教師たちの間などでは、時に意見が食い違うこともあったという。「大事なのは話し合うこと」。20年近くの間、さまざまなアイディアを、話し合い、テストし、そしてその結果をシェアする。それを繰り替えしていくことで、良いものが生まれてきたのだ。もちろん、これからもそれは続いていくだろう。

アリス・ウォータースの哲学が見える、学びの風景・エディブルスクールヤード

学校改革を目的に始まった、エディブルスクールヤード・プロジェクトに、献身的な力を注いだ人々や取組みについて、もっと詳しく知りたい方は、書籍「食育菜園 エディブル・スクールヤード」を読むことをお勧めする。

さて、当時のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア中学校校長、ニール・スミスに提言をし、共にこの「エディブル・スクールヤード・プロジェクト」を推進していったひとりがアリス・ウォータースだ。1971年、サンフランシスコ郊外のバークレーに「Chez Panisse(シェ・パニース)」をオープンさせたアリス。1970年代当時のアメリカの、低価格、高カロリーで栄養の乏しいジャンクフード、ファーストフードが主流な食文化に一石を投じ、オーガニック農業や地産地消、スローフードを普及させた立役者でもある。彼女の食育活動により、地域やコミュニティーをまきこみ、教育に至るまで社会を変えていくこととなった。彼女の果たした功績は、大きい。

アリスの哲学は、今もスクールガーデン内の建物の壁に掲げられている。

アリス・ウォータースの哲学が見える、学びの風景・エディブルスクールヤード

The Philosophy of Alice Waters

・Eat seasonally.
・Eat locally and sustainably.
・Shop at farmer’s markets.
・Plant a garden.
・Conserve, compost, and recycle.
・Cook simply, engaging all your senses.
・Set the table with care and respect.
・Eat together.
・Food is precious.
・Cook together.

・旬のものを食べよう
・地元で持続可能につくられたものを食べよう
・ファーマーズマーケットで買い物をしよう
・庭に食べられるものを植えよう
・資源を大切に。堆肥をつくり、リサイクルに努めよう。
・料理はシンプルに、五感をすべて使って。
・食べ物に敬意を払い食卓を用意しよう
・みんなで一緒に食べよう
・食べ物は尊いもの。
・一緒に料理をしよう

*翻訳後の表現は、翻訳者により異なる場合があります。
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佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

http://www.organic-press.com/about/