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オーガニックとリサイクルの関係性

2015 / 06 / 30特集コラム


環境先進国と呼ばれるドイツにおいて、特徴的な政策のひとつにデポジット制度があります。これはガラス瓶やペットボトルの容器に「Pfand (ファンド)」と呼ばれるデポジット(預り金)が課金される制度で、商品購入時にデポジット込の代金を支払い、空き容器を返却するとデポジット分が戻ってくる仕組みになっています。

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返却時に出てくるレシートの例

課金対象となるのは繰り返し使うリターナブル容器と使い捨てのワンウェイ容器。商品としてはビールやミネラルウォーター、炭酸飲料などの飲料品が中心です。例えばリターナブルのビール瓶であれば0.08ユーロ(約11円)、ワンウェイのペットボトルであれば0.25ユーロ(約35円)。環境負荷の大きいワンウェイ容器のデポジットのみ強制課金となります。 ※1ユーロ=140円換算

容器は必ずしも購入店に返却する必要はなく、スーパーマーケットに設置された回収機へ空き容器を入れ、返金額が記載されたレシートを受け取ります。それをレジに持っていけば返金、もしく買い物の支払いから相殺してもらうことができるのです。機械がない小型店では、レジで店員に空き容器を渡して精算します。回収後、リターナブル容器であれば点検や洗浄を経て再度商品として生まれ変わり、ワンウェイ容器であればリサイクルされます。

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スーパーマーケットに設置してある回収機の例

ではオーガニック商品についてはどのような傾向があるのか。前回のコラムで紹介した「Naturell」を覗いてみました。
店に並ぶ商品を見てみると、ビールやミネラルウォーター、一部のワインなどはリターナブル容器を使用しており、一般店で多く見るワンウェイ容器のものはありませんでした。そして特徴的だったのが、乳製品でガラスのリターナブル容器を使用している商品が多かったことです。フレーバー違いも含めるとその数は20品目ほど。デポジットとして0.15ユーロ(約21円)が課金されており、これは“ビール以外”のリターナブル容器共通の金額となります。

店主によると、乳製品はよく売れるカテゴリーのひとつとのこと。その理由として「一般品と比べたときに味の違いを実感しやすいからではないか。」と話していました。特に牛乳やヨーグルトはグローサリーに比べ購入頻度が高く、客がその商品を気に入ればファンとして固定化する可能性も高い商品です。

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「Naturell」の冷蔵庫。ガラス容器の生クリームやヨーグルト、牛乳が並ぶ。

今回、初めてガラス容器入りのヨーグルトを購入してみましたが、風味は良好。容器の返却は日常的にしているので手間には感じず、むしろゴミ袋に入れるものがないので、すっきりとした気分になりました。リターナブル容器ではなくてもリサイクルに配慮した(プラスチックと紙が分別しやすくなっている等)パッケージのものは多いですが、やはりゴミが発生することは事実。リターナブル容器は流通面で費用がかかる・点検や洗浄の手間がかかる、という難点がありますが、“オーガニック“に価値を見出す客にとって、エコロジーに配慮した容器であることは購入動機の一つになりえます。そしてメーカーにとっては収益性だけではなく企業姿勢を示す重要な要素になるのかもしれません。

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「Naturell」のバックヤードにある空き容器。週一で納品車が回収に来る。

この店が加盟するグループ内では納品用のプラスチックケース(通い箱)もデポジット付(3ユーロ(約420円)/1箱)にして管理しているとのこと。「店の在庫管理用にも使っているからあえて返却しない分もあるけど。」と店主は笑いながら話していましたが、その徹底具合には驚かされました。オーガニック専門店であるからこそ、高いエコロジー意識を持ち、客とその意識を共有することで、ちょっとした手間を前向きな行動として変えることができるのでしょう。

 

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神木桃子(こうぎももこ)プロフィール

オーガニックとローカルをテーマに食の魅力を探求し続けるレポーター。
オーガニック専門店を運営する会社にて販売・バイヤー職に、地域産品のコンサルや販売を行う会社にて営業・バイヤー職に従事し、商品企画から流通、販売まで幅広い経験を積む。
2014年秋からドイツ在住。