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悲しくても、おいしくても「色」

2016 / 11 / 23特集コラム


国王崩御のニュースが流れるとタイは黒で染まった。政府は国家公務員の1年間の黒服着用を決めたが、一般の人たちも黒服着用を望んだ。ややスリットが深めに入っていようが襟ぐりが大きかろうが、ともかく持っている黒い服を誰もが着た。

悲しくても、おいしくても「色」
翌日には量販店の黒Tシャツは売りきれ、料理クラスに通ってくる日本人の生徒さんもあれ以来黒づくめだ。私も手持の黒いワンピースで2枚のブラウスを仕立て、毎日来ている。市場の洋服売り場もいまのところ黒一色である。

悲しくても、おいしくても「色」
タイでは「色」が大きな意味を持つ。

思い出せば2006年はやたらと黄色い服を見かけた。この年はタイのプミポン国王の在位60周年記念の式典があり、公務員や学生は黄色い服の着用が決まったいたのだ。日本人の私には赤い羽根ぐらいしか思い当たらない不思議な共有感だ。とくに月曜日ともなればその黄色率は95パーセントに達したのだからおどろきだった。

じつはタイには古代バラモン教の占星術がルーツになる「色」の世界観があり、曜日ごとに色が決まっている。日曜日が赤色、月曜日が黄色、火曜日がピンク。水曜日がやや複雑で昼間は緑色で夜は黒。木曜日がオレンジ色、金曜日が青色、土曜日が紫色。プミポン国王は月曜日生まれだったので、祝賀の色は黄色ということになっていたのだ。

悲しくても、おいしくても「色」
食品につけられている色も日本より色彩豊かだ。市場で売られているものは化学薬品を使ったものが多いが、本来は植物からとった色素で色をつける。中でも日本にはない透明の紫色はなんとも神秘的だ。

悲しくても、おいしくても「色」
この紫色を出す花がタイ語でアンチャンである。英語名はバタフライピーといい、豆科の植物だ。うちにはアンチャンの低木が垣根代わりに植わっているが、紫色の小花が目立ちはじめると誰かが摘んでいってしまう。クセのない花なので、そのまま食べることができるエディブルフラワーである。昔は白髪になるとこの花で薄紫色に染めたそうだ。

悲しくても、おいしくても「色」
普段は乾燥してお茶として飲むことが多い。ヨーロッパオーガニック認証がついたこのインスタントアンチャンの素は水やソーダで割ってノンアルコールの飲み物としても重宝する。

タイの伝統的なスイートショップに行くと、さすがここではアンチャンを使って美しい紫色したお菓子やスナックが売られている。

悲しくても、おいしくても「色」

悲しくても、おいしくても「色」
思うに日本人は質感にこだわる民族だ。大福にしても豆大福やいちご大福となるし、餡もこしあん、粒あんとなる。タイ人はそこが微妙に違い、こだわりは色と香りになる。タイのデパートのスイートコーナーに行くとカラフルな大福や月餅、食パンは当たり前だ。写真をお見せできないのが残念だが、色をつけたらもっと美味しそうに見えると思うようだ。タイの知人は「うどんに色をつけてよ」とよくいうが、抹茶までは許せても、まだその先はどうしても気が進まない。

ある日、日本で酢玉ねぎが流行っていると聞いて早速作ってみた。酢に玉ねぎをつけるという簡単なものだが、血液の流れをよくするらしい。風味付けにカレーやハーブを入れるバージョンがあったがどうも物足りないので、お茶用のアンチャンの花を入れてみた。すると、酸に反応してあっという間に見事な紫色が滲み出てきた。1日おくと液体だけでなく、タイ料理に使う小さな玉ねぎにも紫色は移って、鮮やかな紫ピクルスが出来上がった。見飽きたミニトマトではないグリーン+紫の新鮮なサラダ!白いお皿に流れ出した紫色のお酢のファンタスティックなこと!

悲しくても、おいしくても「色」
予想以上の出来だったので、連載しているタイマガジンのレシピにも載せた。すると読者からなんて素敵なアイディアとお褒めの言葉が届いた。タイの心をしっかり掴んだこのレシピ、日本の方にはどう映るのだろう?まあともかくバターピーのお茶に出会ったら。ぜひお試しください。

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紫酢のエシャロット

・エシャロット(玉ねぎでも可)100g
・米酢         100cc~
・甘み         小さじ1強
・塩          小さじ1/8
・アンチャンの花    10個

1.エシャロットを一口大に切る
2.煮沸して完全に乾いた保存容器に酢と甘み、塩をまぜあわす
3.2の中に1を入れて混ぜる
4.乾燥したアンチャンの花をそのまま入れて蓋をする

*アンチャンの花はちょうど良い濃さになったら取り出す
*すぐから食べることができるが冷蔵庫に1日おくとまろやかになる。2ヶ月冷蔵庫保存

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木幡恵の「いつだって幸せごはん」木幡恵プロフィール

20代でマクロビオティックに出合い、30代で雑穀に出合い、50代でタイに出会ってしまった料理クリエイター。ストイックだけど大胆、本気だけど本音であることがたいせつだと思っている。料理活動の場はバンコク。ベジを基本にアジアの調理法を盛り込んだ料理クラス「gaiatable」を主宰。

タイ語のマガジンHEALTH &CUISINEと日本語のタイ情報誌のDACOにレシピを連載中。
自身が企画した商品をヤムヤムから販売している。

■つぶつぶクッキング
■無発酵の雑穀パン
■雑穀つぶつぶクッキング
■おいしいマクロビィオテック (タイ語)
■タイの料理雑誌HEALTH&CUISINE(タイ語)
■タイのマガジンDACO 料理エッセイ「大地のめぐみ」(日本語)

★Gaia Table 南国食日記
http://gaiatable.com/diary/

★ヤムヤムホームページ
http://www.gaiatable.com/

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