日本初上陸の、フランス発オーガニックスーパー「Bio c’ Bon (ビオセボン)麻布十番店」が、「有機野菜の量り売り」を本格的に導入した。また、欧米のスーパーマーケットでよく見られる、ドライフルーツやナッツ類のセルフスタイルの量り売り、専用の什器を陳列したコーナー(バルクコーナー)も設けられた。好きなものを好きなだけ、必要な分だけを無駄なく購入できる上、トレイや専用袋、結束テープなどの無駄なゴミも削減。環境にやさしい買い物スタイルと言える。

形や大きさが異なるため市場に並びにくい、いわゆる「規格外」の野菜。有機野菜、そして固定種・在来種といった、大きさや形や生育が不揃いになりやすい野菜たち。これらは通常、販売するにあたり「カットする」「計量する」「袋詰めする」などの作業がプラスされ、オペレーションが複雑となる。

日本のオーガニック専門店や小規模の自然食品店などでは、今までもこういった個別の対応をしてきたわけだが、お客様自身が自分で量り、袋詰めし、ラベルシールを出し、レジに持っていくという完全な「セルフスタイルの量り売り」には、なかなか手を出せずにいた。実はこれ(セルフスタイルの量り売り)を導入することは、とっても難しいこと。まず、買い物する側も慣れていない。そして販売する側も、温度管理や鮮度管理の不安、売り場づくりの難しさなどもある。そんな悩ましい事情で長年他社が取り組めずにいる中、今回Bio c’ Bon (ビオセボン)が先駆けて導入した「セルフスタイルの量り売り」は、今まで行き場のなかった規格外野菜、有機野菜の販路拡大を促進させる機会となるに違いない。

「Bio c’ Bon (ビオセボン)麻布十番店」入り口入ってすぐの野菜売り場には、量り売り用の「紙袋」「マジックペン」が用意されており、計量器も数か所に設置されている。

販売されている野菜や果物には、量り売りのものと、従来の袋売りやパック売りのものとが混在。プライスカードの右上に黄色の文字で数字が書かれているが、これが計量時に必要な商品番号となっている。また、その下に「1個あたり」「1袋あたり」「100gあたり」とあって、該当するものに丸印がついており、提示されている価格がどれに当たるのか、ここで確認。また、品名にも「計量」の文字が書かれているので、こういった表示を見て、該当商品が量り売りかどうか?を判断する。

量り売りの野菜や果物は、自分で計量器で重さを計って袋詰めする。売り場のあちこちに計量器があるので、その場で該当する数字を入力し、ラベルを発行してもいいが、いったんマジックで袋に番号をメモしておき、後でまとめて計量することも可能だ。


計量器の近くにも、野菜売り場のあちこちにも、セルフ計量器の使い方が提示されている。

入り口入ってすぐのところには、計量器とともにシンクが設けられていた。さすがに、泥のついた野菜をきれいに洗って購入する方はあまりないと思うが、量り売りに際し、特にジャガイモやゴボウ、泥付きニンジンなど、根菜類を手で袋に詰め、汚れてしまった時など、店舗内にこういった設備があるのはありがたい。ちょっとしたデモンストレーション、野菜の試食などの際にも活躍しそうだ。

ドライフルーツやナッツの量り売り、バルクコーナーは入り口入って右手。欧米のお店では、ここまで個室のように売り場を分けているところは少なく、菓子類の棚の近くや、オープンな場所にある。品質保持、そして異物混入のリスク軽減にもなるが、日本人の清潔志向の高さに配慮したのか?とも思えた。

専用の什器は、手前(下)から蓋を開けてとれるようになっていて、補充は容器の上から。スプーンなどは、他の素材の味や香りが移らないように兼用できないようになっている。また、下に落としたり、外に出してホコリなどがつかないように、什器の中に差し込むように工夫されている。この什器は、フランスの店舗で使われているものと同じだった。

コーナー内には野菜売り場同様に計量器、紙袋が設置されていて、セルフでラベルを付けてレジへもっていくというシステムとなっている。

今回Bio c’ Bon (ビオセボン)麻布十番店では、水菜、春菊、グリーンリーフなど葉物の野菜の量り売りもチャレンジしていた。冷蔵ケースに直接ではなく、木箱を置いてその中に入れていたが、売り場にボリューム感を持たせるのも難しい。また、鮮度管理のためにこまめに水分を与えるなど、対応も必要になってくるだろう。また、キャベツやカボチャなど、むしろ1個では多すぎてカットしてもらいたいというニーズもでてくるだろうし、誤って他の番号を入力してしまうケース、単品売りと思って、計量せずにレジへ持っていってしまった時の対応、、、様々なパターンを想定しての、対応マニュアルも必要になりそうだ。今後たくさんの課題も出てくると思うが、是非「環境にやさしい買い物スタイル」を日本の小売業に定着させる先導者となってほしいと思う。

セルフスタイルの量り売りに慣れていない消費者も、現段階では多いと思う。ただ、レジ袋の有料化、エコバッグ推進などがそうだったように、続けていくことでそれがいつの間にか当たり前のこととなっていく。お母さんの買い物姿を見ている今の子供たちの近い将来は、戸惑うことなく「セルフスタイルの量り売り」を受け入れる時代となっているはず。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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