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これからの店舗のあり方を考える。 フードマーケティングセミナー「アメリカに見るオーガニック最新事情」

2015 / 08 / 10特集コラム


一般社団法人フードトラストプロジェクト主催による、第6回フードマーケティングセミナーが2015年7月31日(金)に開催された。テーマは「アメリカに見るオーガニック最新事情」。6月にカリフォルニアのサクラメント・ナパ・サンフランシスコのマーケットを視察してきたばかりの笹井清範氏(月刊「商業界」編集長)と福島徹氏(株式会社福島屋代表取締役会長)より、現地の写真を交えながらの報告、解説を中心とした内容であった。

これからの店づくりを考える。 フードマーケティングセミナー「アメリカに見るオーガニック最新事情」

視察先は「WHOLE FOODS MARKET」をはじめ、「Berkeley Bowl」「COSTCO WHOLESALE」「WinCO FOODS」「Nugget MARKETS」「Raley’s」「BI・RITE MATKET」「RAINBOW GROCERY」など、大型オーガニックスーパーからスタンダードなスーパー、ディスカウント型のスーパーや会員制倉庫型店までと幅広い。少し前までは高額所得者にしか届かないような価格で売られていたオーガニック製品。販路も専門ショップを中心としていたが、オーガニックはより一般大衆の手の届く範囲に広がってきている。

第6回フードマーケティングセミナー「アメリカに見るオーガニック最新事情」2015年7月31日(金)開催

「COSTCO WHOLESALE」にて、大量に陳列されたオーガニック製品

ちょうど7月3日付の日経MJ(10面 米国流通-現場を追う-R2リンク代表 鈴木敏仁氏)で、ホールフーズが2016年に「365 by Whole Foods Market」という名で、新コンセプトのショップを実験的にオープンさせるという記事が出たばかり。自社のプライベートブランド「365 Everyday Value」の商品を中心に、低価格志向の小型店を展開するという。

また、コストコ第3四半期の決算発表で、オーガニック商品の販売ボリュームが40億ドルを超えたとコメントがあり、アナリストの試算によればホールフーズを超え、今や米国でオーガニックを最も売っているのはコストコなのだ、という。

持論になるが、オーガニックやナチュラル、ヘルスケアの領域では、新たなトレンドやビジネスモデルの多くは欧米で生まれ、日本はいつも、これに10年近くの遅れを取っていると感じている。急速にSNSなどが広まり、海外の情報が即時に入ってくるようになったことから、ここ数年は海外のトレンドが日本に上陸しブームとなるスピードがどんどん速まっている。だから、これから先の10年後には、今の米国ホールフーズ、コストコにみられるようなことが、日本でも起きている可能性は否定できない、と思うのだ。

ちょうど2008年に米国コロラド州ボールダー在住の知人を訪れた。この時、現地のCOSTCOにも足を運んだのだが、既に少量ながらオーガニック製品が販売されており、驚いたのを覚えている。また、それよりもっと前の2005年には、セーフウェイがオーガニックラインでプライベートブランド「O Organics」の販売をスタートしていた。

日本では昨年の2014年10月、ちょうどセーフウェイから10年近くの時間差で、イオンが「トップバリュ グリーンアイ」オーガニックシリーズ120品目の販売を開始したところだ。有機JAS認証を取得しており、比較的低価格のラインナップだ。また、既に福島屋を筆頭に、成城石井、ナチュラルローソン、一般のスーパーマーケットなどまで、専門店でなくともオーガニック製品を取り扱う時代。わざわざ自然食品店やオーガニックショップまで足を運ばなくても、オーガニック製品や有機野菜を手軽に購入できるようになってきた。新たな消費スタイル、ネット通販も定着。eコマースの市場では競争が激化している。今まで高価格帯で定価販売があたりまえだったオーガニック製品も、一部では既に価格破壊が始まっている。日本でも、少しずつではあるが、欧米のようにオーガニックが一般大衆の手に届きやすく、身近なものになってきている。

今回のセミナーの中で一番印象的だった、月刊「商業界」編集長の笹井氏による、顧客の消費志向は「生活必需」と「人生充足」の二極化が進んでいる、というコメントに注目してほしい。

※以下、笹井氏のレジュメより抜粋

■生活必需
価格・利便性は絶対条件。買い物は苦痛でなるべく行きたくない。店主の顔を知らない。他に良い店があれば乗り換える。

■人生充足
価格・利便性以外の価値がある。買い物は楽しい。毎日でも行きたくなる。店主とは顔なじみだ。この店を応援したい。

今後、この顧客の消費志向に対してのニーズをいかに満たすかが重要になってくるだろう。

どちらでもない中途半端な店は急速に客離れ、売上減少が進む」(笹井氏)

「中途半端な店」にならない為には、対象とするターゲット顧客の消費志向、求めているニーズを把握して課題を解決したり、こだわりを徹底的に追求していくことが必要だ。専門店であるというだけで、今の品揃えや現状に甘んじているようでは、この先10年後、生き残っていくのは難しくなるかもしれない。オーガニック専門店、オーガニック業界の”これから先10年”のあり方が、今、問われている。

 

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佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

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